中古の戸建て物件を買う時の注意点
- リフォームには大きな金額がかかる
- 立地が悪いと入居者が集まらない
- 投資用物件には「契約不適合責任」をつけない
不動産投資は他の投資と違い、大きな資金が動くため、一つの判断ミスが全体の収益計画を狂わせることもあります。上記のどれか一つでも軽視すると想定外のコストがかさみ、収益性が低下したり、売却時に損失を出したりすることになります。
以下から、それぞれの注意点を詳しく解説していきます。
注意点 1
大きな金額がかかるリフォーム
中古戸建て物件は、新築と比べて建物の老朽化が進んでいる場合が多いため、構造や設備の状態をしっかりとチェックすることが大切です。以下に紹介する箇所は修理修繕に大きな費用がかかるので注意が必要です。
- 基礎部分や外壁(ひび割れや湿気による劣化)
- 屋根の状態(漏水や修理の必要がないか)
- シロアリ被害(木造の戸建て物件では特に注意)
工事項目 | 概算費用(円) | 内容 |
---|---|---|
基礎部分や外壁工事 | 50万円〜200万円 | 基礎の補修、外壁の塗装や張り替え、ひび割れや構造補強の工事 |
屋根の工事 | 10万円〜150万円 | 屋根の塗装、部分補修、全面葺き替え |
シロアリ駆除 | 10万円〜30万円 | シロアリの防除や駆除作業、予防処置 |
確認箇所 1
基礎部分や外壁(ひび割れや湿気による劣化を確認)
基礎は建物の土台であり、建物全体を支える重要な部分です。基礎がしっかりしていないと、建物全体の耐久性や安全性が損なわれ、大きな修繕が必要になります。
地盤沈下の場合は、購入時の価格交渉に使えます。
外壁は建物の「顔」とも言える部分で、外観の美しさだけでなく、建物を雨風や外部の要因から守るのに重要です。外壁の劣化が進むと建物内部に水が侵入したり、断熱性の低下が起きたりして修繕が必要になります。
基礎部分の劣化サイン
ひび割れ
小さなひび割れ(ヘアクラック)は、経年劣化に伴いある程度仕方ないものですが、幅が1mm以上のひび割れがある場合は注意が必要です。特に縦方向や斜めのひび割れは地盤沈下や構造的な問題を示唆している可能性があります。
沈下や傾斜
建物が沈んでいたり、床が傾いている場合、基礎が不安定になっている可能性があります。これは地盤が弱い地域や、施工時の地盤改良が不十分なケースでよく見られます。
水分や湿気の浸入
基礎部分が湿っていたり、カビが生えている場合、地下水や雨水が基礎に影響を与えている可能性があります。水分が基礎に浸透すると、鉄筋の腐食やコンクリートの劣化を引き起こし、耐久性に悪影響を与えます。
外壁の劣化サイン
ひび割れやクラック
モルタル外壁では、温度差や地震などの影響でひび割れが生じやすいです。小さなひびでも放置すると雨水が浸透し、内部に影響を与えるため、早めの補修が必要です。
チョーキング現象
外壁に触れた際、手に白い粉が付着したら塗装が劣化しているサインです。白い粉の正体は、雨や紫外線によって塗料の中の合成樹脂が分解され、顔料が粉状になって塗装表面に現れたものです。
塗膜の防水機能が低下している証拠であり、再塗装が必要です。
シーリング材の劣化
サイディング外壁の場合、パネル間のシーリング(コーキング)部分が劣化して割れたり、剥がれたりしていると、そこから水が侵入し、建物内部がダメージを受ける可能性があります。
基礎や外壁の劣化が見つかった場合、修繕にかかる費用も把握する必要があります。
- 基礎補強工事
-
基礎にひび割れがある場合、軽微なものであればコーキング材での補修が可能です。
大規模なひび割れや沈下が発生している場合は、ジャッキアップや基礎全体の補強工事が必要になります。費用は数十万円から場合によっては数百万円に及ぶこともあります。
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- 外壁塗装・補修
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一般的に外壁塗装は10年から15年ごとに必要とされ、費用は100万円程度が目安です。劣化の度合いによってはこれ以上の費用がかかる場合もあります。
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確認箇所 2
屋根の状態(漏水や修理の必要がないか)
屋根が劣化している場合、最も重大な問題は雨漏りです。雨漏りは建物の内部に直接影響を与え、柱や梁の腐食、シロアリ被害、さらにはカビの発生などを引き起こすことがあります。以下の部分を確認しましょう。
天井や壁のシミ
天井や壁に茶色や黒いシミがある場合、過去に雨漏りが発生している可能性があります。特に天井の角や窓枠周辺は要チェックです。これらのシミは水が浸透している証で、外部からの水の侵入がどこかで起きている可能性があります。
天井裏や屋根裏
天井裏や屋根裏に入ることができる場合、そこで湿気や腐敗の兆候がないか確認しましょう。木材が黒ずんでいたり、湿気を帯びている場合、すでに雨漏りが進行している可能性が高いです。
また、断熱材が濡れているとカビの温床になりやすいので注意が必要です。
屋根材の浮きや割れ
屋根の外観を確認し,瓦やスレートが浮いていたり、欠けていたりしないか確認します。特に風が強い地域では、屋根材が浮いていると強風で剥がれやすくなります。
金属屋根の場合は、錆や腐食の進行具合にも注意を払いましょう。
雨漏りの確認で難しい点は、「漏れた場所を見つける」のではなく、雨水が「屋根のどこから侵入してきたか」を見極めることです。
雨水は天井内で垂直に下に落ちるだけでなく、木材で構成された柱や梁などを伝って斜めや横方向にも伝わります。そのため、漏れた場所が実際の浸入点とは離れていることが多いのです。
侵入点が複数あると特定が難しいため、屋根を専門に扱う業者に依頼するのが確実です。
屋根の状態が悪化していると修繕が必要ですが、修理の規模や内容は状況によって異なります。
部分的な補修
瓦の差し替え
瓦が部分的に割れている場合は、割れた瓦を差し替えることで対応できます。このような部分的な修理は比較的安価で、数万円程度の費用がかかります。
スレートや金属屋根の補修
スレートや金属屋根にひび割れや小さな穴がある場合、補修材を使って穴埋めをすることができます。これも数万円〜10万円程度で対応可能です。
再塗装
スレートや金属屋根の再塗装
塗装の劣化は防水性が低下しています。再塗装することで屋根の寿命が延びます。再塗装の費用は30万円〜50万円程度が目安です。
全面葺き替え
屋根材の全面交換
屋根全体が劣化している場合は、屋根材の全面葺き替えが必要になります。
瓦屋根の場合、瓦そのものが長寿命ですが、下地の防水シート(ルーフィング)が劣化している場合は葺き替えが必要です。費用は屋根材や広さによりますが、100万円〜200万円以上かかることもあります。
防水シートの交換
ルーフィングシートの交換
屋根材の下に敷かれている防水シート(ルーフィング)が劣化している場合、屋根材を交換せず防水シートのみを交換することで対応できる場合もあります。ただし、屋根材を一度取り外す必要があるため、費用は数十万円〜かかることがあります。
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確認箇所 3
シロアリ被害(木造の戸建ては特に注意)
シロアリは一般的に春から夏にかけて活発に動きます。この時期に飛び立つシロアリの姿を目にしたり、外に小さな羽アリが群れているのを見つけた場合、シロアリの巣が近くにある可能性が高いです。
シロアリの被害は、以下の箇所で発生しやすいので注意して確認します。
床下や基礎部分
シロアリは地面から建物に侵入するため、基礎や床下は最も被害が多い場所です。床下や基礎部分に泥のトンネル(蟻道)や木材の変色がないか、木材を軽く叩いて空洞音がしないか確認します。
浴室や水回り
湿気が多い場所はシロアリにとって快適な環境であるため、浴室やキッチン、洗面所などの水回りは特に注意が必要です。床や壁の腐敗、カビなどの異常が見られる場合、シロアリの活動を疑うべきです。
外壁や庭
建物の外周部分にもシロアリが発生することがあります。木材が露出している外壁や庭のデッキ部分は、シロアリの餌食になりやすいため、表面に異常がないか目視で確認します。
シロアリの駆除費用は被害の程度や建物の大きさ、駆除方法によって異なりますが、一般的な費用は以下の範囲で見積もられます。
- 基本的なシロアリ駆除の費用
-
1坪あたり5,000円〜10,000円程度が相場です。例えば、30坪(約100平方メートル)の住宅の場合、駆除費用は約15万円〜30万円程度が一般的です。
- 被害の範囲と駆除の規模
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部分的な駆除
シロアリの巣が小さく侵入場所が限られている場合は、比較的低価格で済むことがあり、約5万円〜10万円で対応可能です。
広範囲に及ぶ駆除
建物全体にシロアリが広がっている場合や、土台や柱に深刻な被害がある場合、駆除だけでなく修繕費用も発生するため、15万円〜30万円程度の費用がかかります。
30坪の一軒家で、単にシロアリ駆除を行う場合は駆除方法によって9万円〜30万円の範囲に収まるのが一般的です。
- 予防対策の費用
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シロアリの再発を防ぐための予防処置として、防蟻処置を施す場合の費用は1坪あたり3,000円〜5,000円程度が相場です。この場合、30坪の住宅なら9万円〜15万円程度の費用がかかります。
- 使用する薬剤や方法による違い
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バリア工法(薬剤散布)
もっとも一般的な方法で、建物の基礎や床下に薬剤を散布することでシロアリの侵入を防ぎます。費用は1坪あたり5,000円〜10,000円が目安です。
ベイト工法(毒餌設置)
建物周囲にシロアリ専用の餌を設置し、シロアリを巣ごと駆除する方法です。薬剤散布よりも高価で、1坪あたり10,000円〜15,000円程度かかることがあります。
シロアリ駆除業者に依頼すると、数年(5年程度)の保証がついています。保証期間内に再発した場合、無料で再駆除を行うサービスもあるため、業者選びの際はこの点も考慮すると良いでしょう。
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注意点 2
立地が悪いと入居者が集まらない
不動産投資の基本は「立地」です。立地が良いと入居者の定着率が高く、長期間安定した賃貸収入を得ることができます。
建物自体に欠陥がある場合は、リフォームなどでいくらでも改善できますが、立地は後で動かすことができないため、最初に慎重に選ぶ必要があります。
立地選びで失敗しないためのポイントを以下にまとめました。
- 昼夜や平日・休日の様子を確認する
- 近隣の施設を直接確認する
- 地価公示・路線価を調べる
- Googleマップやストリートビューで確認
- SUUMOやホームズのエリアガイドを参考にする
昼夜や平日・休日の様子を確認する
物件周辺の環境は、時間帯や曜日によって変わることがあります。昼間と夜間、平日と休日の様子を確認し、交通量、騒音、治安などがどのように変化するかをチェックします。
近隣の施設を直接確認する
最寄り駅やバス停の距離、周辺施設(スーパー、病院、学校など)の実際の距離や利便性を自分の足で確認します。地図だけではわからない距離感やアクセスの便利さがわかります。
地価公示・路線価を調べる
国土交通省や国税庁のデータベースで、物件のある地域の地価や路線価を確認します。地価の上昇傾向があれば、将来の資産価値向上の期待が持てます。
Googleマップやストリートビューで確認
Googleマップを使って、物件周辺の道路状況や最寄り駅までの距離、近隣施設の配置を確認します。また、ストリートビューを使って周囲の雰囲気や街並み、建物の状態などをチェックできます。
SUUMOやホームズのエリアガイドを参考にする
不動産情報サイトのエリアガイドには、地域ごとの人気ランキングや賃貸需要、住みやすさに関するデータが掲載されています。こうしたデータを参考に、物件の賃貸需要を把握できます。
知りたいこと | 調査方法 |
---|---|
交通アクセスの確認 | Googleマップやストリートビューで駅やバス停から物件までの距離・道のりを確認。 |
周辺施設の利便性 | 現地訪問で実際にスーパー、病院、学校などの施設がどのくらい近いか確認する。 |
将来の発展性(再開発など) | 自治体の都市計画マップや再開発計画の情報を確認。地元の不動産業者からも情報収集。 |
人口の増加やエリアの動向 | 総務省や自治体の人口統計データを確認。エリアの人口動向や年齢構成の変化を把握。 |
賃貸需要の確認 | 不動産ポータルサイト(SUUMO、ホームズなど)のエリアガイドや賃貸相場データを利用。 |
物件の資産価値の確認 | 地価公示・路線価データ(国土交通省や国税庁)で現在の資産価値や地価の変動を確認。 |
自然災害リスクの確認 | 国土交通省のハザードマップで洪水や地震、津波などのリスクを把握。 |
賃貸相場や空室率の確認 | 不動産仲介業者やポータルサイトで地域の賃貸相場と空室率を調査。 |
周辺環境(昼夜の雰囲気) | 現地訪問を昼間と夜、平日と休日に分けて行い、実際の雰囲気や騒音、交通量を確認。 |
建物の将来のリスク(老朽化など) | 不動産仲介業者やインスペクション(住宅診断)を依頼し、建物の状態をチェック。 |
注意点 3
投資用物件には「契約不適合責任」をつけない
契約不適合責任とは、売買契約で引き渡された物件が契約内容に適合していない場合に、売主が買主に対して負う責任のことを指します。これは、2020年4月の民法改正によって、「瑕疵担保責任」に代わって導入された概念です。
売主も知らなかった重大な欠陥が、購入後に見つかった場合の保証
契約不適合責任は次のような場合に適用されます。
契約内容に合わない場合
物件が契約で定めた状態に達していない場合、売主がその責任を負います。例えば、購入前に「新築同様」と説明された物件が、実際には劣化が激しい箇所があった場合、これは契約不適合に該当します。
契約で求められた状態に達していない場合、売主に補修や修繕を請求することができます。
引き渡し時点での不具合
物件の引き渡し時点で、契約内容に適合しない欠陥や不具合が見つかった場合、売主がその責任を負います。たとえば、壁や基礎にひび割れがあったり、配管が老朽化していた場合、売主はこれらを修理する義務を負うか、代金の減額や契約解除が可能となることもあります。
これはシロアリや雨漏りなどにも適用されます。
- 投資用の物件を購入する場合:契約不適合責任をつけない
- 自宅用の物件を購入する場合:契約不適合責任をつける
投資用物件の契約不適合責任について
投資用物件は主に収益を得る目的で購入されるため、物件の状態や価値に関するリスクは買主が負うべきとされています。不動産は「現状有姿」で取引され、購入後に欠陥が見つかっても売主はその責任を負いません。
投資用不動産を購入する際、売主が契約不適合責任を免除する
中古の投資用物件は建物が古く、賃貸物件として使用されていた期間が長いことが多いため、多少の劣化や不具合が発生する可能性があります。このような物件のすべての不具合について、売主が責任を負うのは現実的ではないため、買主が事前に建物状況の調査を行い、物件の状態を確認します。
自宅用物件の契約不適合責任について
自宅用物件の購入では、売主が契約不適合責任を負うことが一般的です。特に新築物件では、住宅品質確保法に基づき、売主は構造上の欠陥や雨漏りなどに対して10年間の保証を提供することが義務付けられています。
自宅用物件では、購入者やその家族が長期間住むことを前提としているため、安全性や快適性が欠かせません。
中古物件の場合でも売主が不動産会社であれば、契約不適合責任が適用されることが多いです。個人売主の場合は、契約によって責任が限定されることもありますが、それでも一定期間、売主が責任を負うケースもあります。
契約不適合責任は売買契約書で双方が合意して決定します。不動産取引では、以下の手順で取り決められます。
契約不適合責任をどうするかは、まず不動産仲介会社を通じて、売主・買主双方で調整されます。仲介会社が契約書の草案を作成し、その中で契約不適合責任について明記されることが多いです。
売主側が責任を免除したい場合は、その旨を契約書に反映させる形になります。
契約書に契約不適合責任をつけるか免除するかを明記します。売主がどこまで責任を負うかが明確にされます。
投資用物件では免責することが多く、自宅用物件では契約不適合責任をつけます。
契約内容について不安がある場合、弁護士や不動産の専門家に相談することで、より正確なアドバイスを得ることができます。契約書の条項に誤りや不備がないか確認してもらうことも重要です。
投資用物件と自宅用物件の違いまとめ
投資用物件と自宅用物件の契約不適合責任の違いは、売主の責任範囲です。投資用物件ではリスクを買主が負うのに対し、自宅用物件では売主の責任が重視されます。
- 投資用物件
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売主は契約不適合責任を免除することが多く、物件の状態は「現状有姿」で引き渡されます。投資目的のため、買主はリスクを把握し、自己責任で購入します。
- 自宅用物件
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売主は契約不適合責任を負うのが一般的です。特に新築物件では法律に基づき、10年間の保証が義務付けられています。中古物件でも、売主が不動産会社の場合は責任を負うことが多いです。
- 修補請求:物件の不具合や欠陥の修理
- 代金減額請求:不具合や欠陥がある場合、その分の代金を減額
- 契約解除:重大な不具合があった場合、契約自体を解除
- 損害賠償請求:損害が発生した場合、売主に対して損害賠償を請求
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