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【初心者用】空き家バンクとは?基本的な仕組みを分かりやすく解説

この記事でお伝えする内容
  • 空き家バンクとは
  • 基本的な仕組み
  • 空き家バンクの成功事例
目次

空き家バンクとは

空き家バンクとは、空き家の所有者と利用希望者(購入・賃貸希望者)をマッチングするために、自治体や民間団体が運営する情報提供・仲介支援制度のことです。主に地方自治体が主体となり、空き家の有効活用や地域活性化を目的として運営されています。

自治体紹介による信頼”空き家バンク制度”の紹介(移住・交流推進機構)

空き家バンクの目的

3つの目的
  • 空き家対策
  • 地域の活性化
  • 移住・定住の促進

空き家対策

日本では人口減少や都市部への人口集中、高齢化などの影響で、全国的に空き家の増加が深刻化しています。特に地方では住む人がいないまま放置された空き家が目立ち、景観の悪化や倒壊リスクの増大、防犯上の問題などが生じています。


増え続ける空き家~2つの空き家問題~(空き家ワンストップ相談窓口)

空き家バンクはこうした放置された空き家を活用し、新たな住民や事業者に提供することで、空き家問題の解決を図ります。具体的には、以下のような施策が取られています。

所有者と利用希望者のマッチング

空き家の所有者が、自治体や運営団体に物件情報を登録し、購入や賃貸を希望する方が閲覧できる仕組みを提供。

空き家バンクを通じて契約を支援し、スムーズな取引ができる。

空き家の利活用支援

空き家を単に住宅として再生するだけでなく、宿泊施設、飲食店、シェアオフィスなど、さまざまな用途に活用できるよう支援。

空き家の管理を促進

空き家条例の制定により、適切に管理されない空き家に対する指導や撤去の権限を自治体に与える。

空き家バンクは空き家情報の提供だけでなく、所有者の負担軽減や適正管理の促進を通じて、地域全体の環境改善にも貢献しています。

空き家バンクにおける特徴的な取組み事例集(すまいづくりまちづくりセンター連合会)

地域の活性化

空き家バンクによって、これまで利用されていなかった物件が活用されることで、新たな住民の流入やビジネスの創出が期待されます。具体的には以下のような取り組みが行われています。

若年層や子育て世帯の誘致

福島県福島市では住宅購入やリフォーム費用の補助など、経済的な支援策を充実させ、若者や子育て世代の移住・定住を積極的に支援しています。

兵庫県豊岡市は、「豊岡市定住促進事業補助金」を設け、若年世帯や子育て世帯が市内の住宅に引っ越す際の費用を最大20万円まで補助しています。

地域経済の活性化

三重県伊勢市のNPO法人「伊勢河崎まちづくり衆」は、地域の古い問屋街である河崎地区の活性化のため、空き蔵をカフェやギャラリーとして再生する取り組みを行っています。

広島県尾道市では、「尾道空き家再生プロジェクト」を通じて、空き家をゲストハウスやカフェ、アトリエなどに改装し、観光客やアーティストの誘致を進めています。

地域コミュニティの再生

静岡県藤枝市は「藤枝市空き家ゼロにサポーター」という官民連携の取り組みを開始し、空き家を地域コミュニティの拠点として再生しています。

神奈川県横浜市では遊休地を農園として活用し、3世代交流によるまちづくりを推進しています。

空き家バンクは住宅の再利用にとどまらず、地域社会のつながりを強化し、経済や文化の活性化にも寄与しています。

地域おこし協力隊制度から広がる、空き家を活用した地域活性化・まちづくり事例(ハロー! RENOVATION)

移住・定住の促進

都市部から地方への移住を希望する人は増加しているものの、移住先での住居の確保や仕事の問題がネックとなり、移住につながらないケースが多くあります。

地方自治体が移住促進を進めていても、空き家の情報が十分に整備されていないと、移住希望者が適切な物件を見つけるのが難しい状況になります。

空き家バンクは移住希望者に対して以下のような地方移住を後押しする役割を持っています。

物件情報の提供と移住相談
  • 公式サイトや自治体の窓口を通じて、空き家情報を詳細に公開。
  • 移住希望者向けに相談会を実施し、住居の選定から地域の暮らしについての疑問を解消。
移住支援制度との連携
  • 地域おこし協力隊の制度を活用し、地方での仕事を紹介。
  • 住宅取得や賃貸に関する補助金制度を整備し、移住者の経済的負担を軽減。
仕事と生活の両立をサポート
  • 地域の企業と連携し、移住者向けの求人情報を提供。
  • 起業支援やテレワーク環境の整備を進め、移住者が生計を立てやすい環境を整える。

これらの取り組みによって移住希望者がスムーズに地域に溶け込むことができ、定住につながるよう支援が行われています。

空き家バンクの基本的な仕組み

空き家バンクは空き家を所有する人(売り手・貸し手)と空き家を利用したい人(買い手・借り手)を結びつけるための公的なマッチングシステムです。地域ごとに異なる仕組みを持っていますが、基本的な流れは共通しています。

STEP
空き家所有者が空き家バンクに登録

空き家を売却・賃貸したい所有者は、自治体の空き家バンクに登録申請を行います。登録には以下のような情報を提供する必要があります。

  • 物件の所在地
  • 建物の構造・築年数
  • 現在の状態(修繕が必要かどうか)
  • 売却価格・賃貸料
  • 写真や間取り図
  • 連絡先

登録された情報は、自治体や空き家バンクの運営者が確認し、必要に応じて現地調査を行ったうえで、公式サイトに掲載されます。

STEP
利用希望者が物件を検索

空き家を購入または借りたい人は、空き家バンクのWebサイトなどで物件情報を検索します。多くの空き家バンクでは、エリアや価格、築年数などで絞り込みができ、希望条件に合う物件を探せるようになっています。

STEP
マッチングと交渉

希望する物件が見つかった場合、利用希望者は自治体または運営団体を通じて所有者にコンタクトを取ります。

空き家バンクでは直接取引を仲介するのではなく、以下のような支援を提供しています。

  • 物件の現地案内
    • 自治体職員または不動産業者が案内し、建物の状態を説明。
  • 売買・賃貸契約のサポート
    • 必要に応じて不動産業者や行政書士を紹介し、契約手続きを支援。
  • 補助金・支援制度の案内
    • リフォーム補助や移住支援金、住宅取得支援策などを紹介。

リフォームが必要な物件の場合、自治体によっては修繕費の一部を補助する制度を設けており、利用者の負担を軽減する取り組みも行われています。

STEP
契約成立と移住

所有者と利用希望者の合意が成立すれば、売買契約または賃貸契約が締結されます。契約後、移住者は空き家を活用し、新たな生活をスタートさせます。

必要があれば自治体や地域のNPOが移住後のフォローを行い、地域コミュニティとの橋渡しをすることで、新住民の定住を促進する取り組みも行われています。

空き家バンクは 「Win-Win-Win」の関係

空き家バンクは「空き家の所有者」「空き家の利用希望者」「地域」の三者すべてにメリットがある制度 です。それぞれの立場で得られる利点が異なり、空き家問題の解決策として を生み出す仕組みになっています。

所有者のメリット

放置していた空き家を活用できる

空き家バンクを利用することで、長年放置していた空き家を 売却や賃貸に出すことが可能 になります。活用されないままの空き家は劣化が進み、価値がどんどん下がっていくため、空き家バンクを通じて 早期に活用することで資産価値を維持・向上 させることができます。

また利用者が見つかることで、空き家の 老朽化による倒壊リスクや、不法侵入・火災の危険を減らすことができる というメリットもあります。

固定資産税の負担を軽減できる

空き家を所有しているだけで、毎年 固定資産税 の支払い義務が発生します。さらに「特定空き家」に指定されると、固定資産税の軽減措置が適用されず 税負担が最大6倍になる 可能性もあります。

空き家バンクを活用して売却すれば、完全に税負担をなくす ことができ、賃貸に出す場合も家賃収入を得ることで 実質的に税負担を相殺 できます。

空き家の維持管理の手間が減る

空き家を放置すると草木の繁茂・害獣の侵入・建物の劣化 などが進み、周囲への迷惑やトラブルの原因になります。定期的な掃除・修繕・防犯対策など、定期的な管理は所有者にとって負担が大きくなります。

空き家バンクで利用者が見つかれば、維持管理の手間を大幅に削減できるため、遠方に住んでいる場合や高齢で管理が難しい場合に大きなメリットとなります。

売却できれば完全に手放せるため、維持にかかる時間やコストから解放されます。

利用希望者のメリット

安価な物件が見つかる

空き家バンクに登録されている物件は、市場価格よりも 安価に設定されているケースが多い ため、低予算で住宅を取得できる可能性があります。特に、売却を急ぐ所有者が価格を下げている場合や、過疎地域で不動産需要が低いために数十万円~数百万円の格安物件が見つかることもあります。

自治体の補助金や支援策を活用できる

多くの自治体では、空き家バンクで住宅を取得した人に対し、住宅改修費補助、リフォーム補助、家賃補助などの支援制度を提供しています。

物件自体が安価でも老朽化が進んでいるケースが多いため、こうした補助金を活用することで修繕費用の負担を抑えながら快適な住環境を整えることが可能です。

移住と連携したサポートが受けられる

空き家バンクを利用することで、自治体の移住支援制度と連携したサポートを受けられる 場合があります。例えば、以下のような支援が提供されることが多いです。

  • 移住支援金の支給(都市部からの移住者向け)
  • 仕事探しのサポート(地元企業とのマッチング)
  • 子育て・教育支援(移住者向けの保育料補助)
  • 地域コミュニティとの橋渡し(移住者向けイベントの開催)

これらをksつ要することで、新しい土地での生活基盤をスムーズに築くことができます。地方移住を考えている人にとって、物件取得だけでなくトータルでの支援が受けられるというメリットがあります。

地域のメリット

景観や治安の維持につながる

空き家が増加すると、建物の老朽化が進み、倒壊の危険性や景観の悪化が生じます。また、長期間放置された空き家は不法投棄や不審者の侵入などの犯罪リスクが高くなり、地域の治安にも悪影響を及ぼします。

空き家バンクを活用することで放置される建物の数を減らし、地域の景観を維持できます。空き家が増えることによる防犯上のリスクも減り、安全で住みやすい環境になります。

地域が活性化される

都市部からの移住者や新たな住民を迎えることで、地域の人口減少に歯止めをかける効果が期待できます。移住者が増えれば、地域の商店・学校・医療機関などの利用者が増え、地域経済が活性化します。

また、移住者が新しい事業(カフェ、ゲストハウス、農業など)を始めることで雇用が生まれ、地域の産業が活性化する可能性もあります。

地域の魅力が向上する

近年では「ワーケーション」や「二拠点生活」など、新しいライフスタイルを求める人々が増えており、空き家を活用した新たな住まいの選択肢を提供することで、地域の魅力向上につながる可能性があります。

空き家バンクの課題

空き家バンクは地方創生や空き家問題の解決に貢献する手段として期待されています。しかし、空き家バンクの利用状況は地域によって大きく異なり、十分な成果を上げているとは言えません。

その背景には、以下のような課題が存在します。

登録物件数の不足と情報の不十分さ

多くの自治体で空き家バンクの登録物件が少ない状況にあります。その要因の一つとして、空き家所有者への周知が十分でないことが挙げられます。また、登録物件の情報が十分に提供されておらず、詳細な情報が不足していることも利用者の購入判断を難しくしています。

所有者と利用希望者のニーズの不一致

空き家所有者の多くは物件の売却を希望する一方、利用希望者は賃貸を望む傾向があります。このニーズの不一致が、マッチングの難しさを生んでいます。

物件の老朽化と修繕費用の負担

登録されている物件の多くは老朽化が進んでおり、購入や賃貸後に多額の修繕費用が必要となる場合があります。自治体の補助金制度があっても、全ての改修費用を賄うことは難しく、利用希望者にとって経済的な負担が大きいです。

これらの課題を解決するためには、所有者への情報提供の強化、物件情報の充実、所有者と利用希望者のニーズ調整、修繕費用の支援策の拡充などが求められます。

空き家バンクの成功事例

長野県飯山市

飯山市は全国的にも先進的な空き家バンク制度を運営しており、空き家だけでなく未利用の土地情報も積極的に提供しています。

施策

「お試し移住住宅」制度を導入し、移住希望者が一定期間市内の住宅に滞在し、実際の生活を体験できる機会を提供しています。また、移住者向けの生活支援として、空き家バンクを通じて中古住宅や古民家の情報を提供し、定住を促進しています。

成果

これまでに300組以上の移住希望者をサポートし、多くの方々が飯山市で新たな生活を始めています。この成果は、空き家バンクの充実した情報提供と、移住者支援の取り組みの結果といえます。

飯山市空き家バンク

岡山県美作市

美作市は空き家の利活用を進めるため、住宅改修に対する補助金制度を充実させています。具体的には、空き家バンクに登録された物件の購入者に対し、リフォーム費用の一部を補助する制度を設けています。

施策

空き家バンクを通じて提供される物件の中には、築年数が経過したものも多く、購入後のリフォームが必要となる場合があります。美作市では、こうしたリフォーム費用の負担を軽減するため、最大150万円の補助金を提供し、空き家の利活用を促進しています。

成果

これらの施策により、若年層の移住促進に成功しており、空き家の有効活用と地域の活性化に寄与しています。具体的な成約件数は公開されていませんが、補助金制度の充実により、移住希望者の経済的負担が軽減され移住のハードルが下がっています。

美作市空き家バンク

和歌山県田辺市

田辺市は、「田辺市空き家情報バンク」を運営し、市内の空き家情報を積極的に公開しています。田辺市は地元の不動産業者と連携しており、物件の管理や情報提供を強化しています。

施策

地元の不動産業者との連携により、空き家の管理体制を強化し、物件情報の更新や現地案内、契約手続きのサポートなど利用者が安心して物件を探せる環境を整えています。また、空き家バンクのウェブサイトでは、詳細な物件情報や写真を掲載し、利用者が物件の状況を把握しやすくしています。

成果

2023年度には50件以上の成約を達成し、多くの移住希望者が田辺市で新生活をスタートさせています。この成果は、空き家バンクの充実した情報提供と、不動産業者との連携によるサポート体制の賜物といえます。

空き家バンクをうまく活用すれば格安で物件を取得し、地方での新しいライフスタイルを実現することができます。一方で、物件の状態や交通の便、契約の手間などのデメリットもあるため、事前にしっかり調査・準備をすることが重要です。

もし空き家バンクの利用を考えているなら、自治体のサイトをチェックし、支援制度や物件情報を確認してみるのがよいでしょう。

この記事の重要なポイントのまとめ

空き家バンクの目的

空き家バンクは増加する空き家問題の解決を目的とした自治体主導の制度です。放置された空き家を活用することで、地域の景観維持や防犯対策に貢献し、さらには移住促進や地域経済の活性化にもつながります。

自治体は空き家情報を提供し、所有者と利用希望者のマッチングを支援することで、空き家の流通を促進しています。

空き家バンクの仕組み

空き家バンクは空き家所有者と利用希望者をつなぐ公的なマッチングシステムです。所有者は物件を登録し、自治体や運営団体が情報を整理・公開します。

利用希望者は物件情報を検索し、自治体を通じて所有者と交渉を進めます。契約成立後、移住や事業利用が進み、空き家の有効活用につながります。

自治体による補助金やリフォーム支援が活用できる場合もあり、円滑な取引を促進しています。

空き家バンクの課題

空き家バンクの普及には、登録物件数の不足や情報の不透明さが課題となっています。所有者と利用希望者のニーズが合わず、マッチングが成立しにくい場合もあります。

老朽化した空き家が多く、修繕費用の負担が大きいため利用希望者が敬遠するケースも少なくありません。こうした課題を克服するためには、物件情報の充実、補助金の拡充、所有者への周知強化などが求められています。

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