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空き家を相続したらどうする?4つの選択肢を徹底解説

この記事でお伝えする内容
  • 相続する場合の4つの選択肢
  • 相続にかかる費用
  • 相続の基本的な流れ
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目次

相続する場合の4つの選択肢

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  • 相続しない(相続放棄)
  • 譲る、売却する
  • 所有する(賃貸に出す、とりあえず所有する)
  • 自分で住む

選択肢1

相続しない(相続放棄)

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相続しない場合、空き家を含む相続財産全体の権利と義務を放棄することになります。相続人が家庭裁判所に「相続放棄の申述書」を提出し、法律上の手続きで正式に相続を辞退します。

これにより、被相続人(亡くなった方)の遺産だけでなく、負債やその他の義務も一切引き継がないことになります。

相続放棄の流れ

STEP
家庭裁判所へ申請

相続放棄を希望する場合、被相続人が亡くなったことを知った日から3か月以内に、家庭裁判所に「相続放棄申述書」を提出します。

相続放棄申述書とは?記入例付きの書き方や入手・提出方法について(朝日新聞デジタル)

STEP
必要書類の準備
  • 被相続人の死亡届や戸籍謄本
  • 自分の戸籍謄本
  • 放棄を証明するための資料(相続財産や負債の詳細など)
STEP
結果通知

家庭裁判所が相続放棄を認めた場合、効力が確定します。この時点で相続人はすべての権利と義務を失います。

相続放棄の流れと相続放棄をする際の注意点を解説(三井住友信託銀行)

相続放棄が選ばれる理由

相続放棄を選ぶ大きな理由の一つは、被相続人の遺産に負債や問題資産が含まれている場合です。空き家の場合、以下の理由も挙げられます。

相続放棄をする5つの理由と申述書への書き方を弁護士が解説(アディーレ法律事務所)

固定資産税の支払いがなくなる

空き家を所有することで発生する固定資産税は、使っていない物件であっても支払う必要があります。

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管理義務が不要になる

空き家が老朽化した場合、倒壊や火災などのリスクが生じるため、所有者としての管理責任が発生します。また、放置することで行政から指導や命令を受ける可能性もあります。

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売却が難しい

空き家が地方や不便な場所にあると、買い手がなかなか見つかりません。その場合、維持費用だけが増えます。

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高額な修繕費がかかる

老朽化している物件を維持するには大規模な修繕が必要になり、高額な費用が発生する場合があります。

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注意点

相続放棄は他の財産(現金や有価証券など)も放棄することになるため、慎重な判断が必要です。放棄した財産は次順位の相続人(兄弟姉妹や親族など)に移り、最終的には国が管理することになります。

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また、空き家ではなく土地のみを国に引き取ってもらう制度もあります。

選択肢2

空き家を「譲る」か「売却する」

空き家を相続した場合、所有権を他者に引き渡す方法として「譲る」と「売却」があります。それぞれの方法について詳しく解説します。

空き家を「譲る」場合

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空き家を親族や知人に無償または低額で譲る場合、法律上は贈与または売買として扱われるため、贈与税が発生する可能性があります。

この方法は親族間で相続財産を効率的に分配する目的や、空き家の管理負担を軽減したい場合に選ばれます。

譲る場合の方法と注意点

無償で譲る

完全に無料で引き渡す場合、法律上「贈与契約」となります。この場合、受け取る側には「贈与税」が課される可能性があります。

贈与契約書とは?作成する流れや記載すべき内容を解説(朝日新聞デジタル)

低額で譲る

相場より大幅に低い価格で譲渡する場合も、実質的に「贈与」とみなされ、差額部分に対して贈与税が発生する可能性があります。

メリット

空き家を早めに譲渡することで、相続人同士の争いを防ぐことができます。

不動産は分割が難しいため、相続時に利害が対立しやすいですが、譲渡によって全員が納得できる形で財産を整理できます。

デメリット

無償または相場より大幅に低い価格で譲渡すると、法律上「贈与」とみなされ贈与税が課されることがあります。

非課税枠は年間110万円と低いため、評価額がこれを超える場合、受け取る側に大きな税負担が生じる可能性があります。

注意点

贈与税の非課税制度や軽減措置(例えば、親から子への「相続時精算課税制度」)を利用することで税負担を減らせる可能性があります。

相続時精算課税制度とは?選択の前に絶対知っておくべき3つのリスク(ランドマーク税理士法人)

事前に税理士や弁護士と相談することが重要です。

空き家を「売却」する場合

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空き家を第三者に売却し、現金化する方法です。空き家の売却には時間がかかります。特に地方の物件では買い手が見つかりにくい場合もあります。

売却の方法

仲介売却

不動産会社を通じて買い手を探す方法で、相場に近い価格で売却が期待できますが、買い手が見つかるまでに時間がかかります。

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買取

不動産会社に直接買い取ってもらう方法で、すぐに(最短1日で)売却が可能ですが、価格は相場より低くなる傾向があります。

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売却の流れ
STEP
査定

空き家の相場を知るため、不動産業者に査定を依頼します。

STEP
買い手を探す

不動産仲介業者が広告や案内を通じて買い手を探します。早急に現金化したい場合、不動産買取会社に直接売却する方法もあります。

STEP
売買契約の締結

買い手と条件が合意に至れば、売買契約を締結します。

STEP
引き渡しと代金の受領

所有権を移転し、売却代金を受け取ります。

売却する際に必要な費用

必要な費用1

仲介手数料

不動産仲介業者を通じて売却する場合、仲介手数料が発生します。手数料は法律で上限が定められており、一般的な料率は以下の通りです。

売却価格の区分仲介手数料率
200万円以下の部分5%
200万円超~400万円以下の部分4%
400万円超の部分3%

たとえば、売却価格が1,000万円の場合、仲介手数料は約36万円(+消費税)となります。

必要な費用2

登記関連費用

所有権移転登記を行うためには以下の費用がかかります。

  • 登録免許税
    • 売却価格の0.4%(土地と建物それぞれに課税)。
    • 例:売却価格1,000万円の場合、登録免許税は約4万円。
  • 司法書士報酬
    • 登記手続きを司法書士に依頼する場合の報酬で、一般的に2万~5万円程度。

必要な費用3

譲渡所得税

売却価格が購入時の価格を上回る場合、その差額(譲渡所得)に対して所得税および住民税が課される場合があります。

ただし、「3,000万円特別控除」などの税制優遇措置が利用できる場合もあるため、該当するか税務署に確認しておきましょう。

居住用財産の3,000万円控除とは?適用要件や必要書類も併せて解説!(三井のリハウス)

  • 課税対象額の計算例
    売却価格 – 購入価格 – 売却にかかった諸費用 = 譲渡所得
  • 税率
    • 短期譲渡(所有期間5年以下):約39.63%(所得税+住民税)
    • 長期譲渡(所有期間5年超):約20.315%

売るか貸すかで迷った場合は以下の記事が参考になります。

選択肢3

所有する(賃貸に出す、とりあえず所有する)

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相続した空き家を手放したくない場合には、賃貸に出すか、そのまま所有するといった選択肢があります。今は住む予定はないけど、将来住むかもしれないというときに有効です。

賃貸に出す

空き家を改修して住居や店舗として貸し出すことです。賃貸契約に基づき家賃収入を得ることができます。

ただし、借り手を見つける手間や管理費用、改修費用が発生することがあります。賃貸物件として適していない場合は、収益が見込めない可能性もあります。

賃貸物件として適していない場合

  • 立地条件が悪い
  • 老朽化が進んでいる
  • 物件の間取りが時代に合わない
そのまま所有する

空き家のままでは資産としての活用はありませんが、所有権は保持されるため、将来自分や家族が使用することができます。しかし、維持管理や固定資産税の支払い、老朽化による安全管理が必要になります。

選択肢4

自分で住む

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相続した空き家を自分で住む場合、相続後に引っ越しを行い、生活の拠点として家を使用します。建物が老朽化している場合、安全性を確保するための修繕やリフォームが必要で、給排水や電気、断熱材などの設備を整備する必要があります。

居住することで固定資産税の減免措置(住宅用地の特例)を受けられる場合もあります。

知らないと損! 固定資産税に関する5つの軽減措置について詳しく解説(LIFULL HOME’S)

固定資産税の住宅用地特例とは

固定資産税では、住宅が建っている土地に対して、課税標準額を減額する特例措置があります。これにより、住宅用地は通常の土地に比べて税負担が軽減されます。

この特例は、以下の条件を満たす場合に適用されます。

  • 建物が「住宅」として利用されていること
    空き家の場合でも、相続人が居住することで「住宅」とみなされれば適用対象になります。
  • 課税対象の土地が一定の面積内であること
    具体的には、200㎡以下の部分は課税標準額が6分の1、それを超える部分は3分の1に軽減されます。

地方移住は空き家を有効活用するだけでなく、地域とのつながりを築くきっかけにもなります。地方では移住者を歓迎する自治体が多く、住民交流や移住支援プログラムを通じて新しい人間関係や生活スタイルを構築することが可能です。

移住っていいことあるんだ!!知らないと損する全国自治体支援制度(ニッポン移住・交流ナビ JOIN)

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相続にかかる費用

空き家を相続した場合、その扱い方によって必要な費用が異なります。ここでは、「相続放棄」「譲渡や売却」「所有」「自分で住む」という4つの選択肢それぞれにかかる主な費用を解説します。

相続しない(相続放棄)場合の費用
譲る、売却する場合の費用
所有する(賃貸に出す、またはとりあえず所有)場合の費用
自分で住む場合の費用
  • リフォーム・改修費
    • 居住するために必要な修繕(数十万~数百万円)
  • 固定資産税
    • 所有している限り発生。
  • 引っ越し費用
    • 新居への移動に伴う費用。
  • 生活インフラ整備費
    • 電気・水道・ガスの引き直し、必要な設備の追加費用。

相続の基本的な流れ

相続するには相続人の確認や登記変更など、法律に基づく手順を踏む必要があります。その流れを以下に解説します。

STEP

相続人の確定

まず、相続人が誰であるかを確定します。遺言書がある場合はその内容に従い、遺言書がない場合は法律(民法)の規定に従って相続人が決まります。

法定相続人とは?確認方法や相続分について事例を交えて解説(三菱UFJ銀行)

必要な手続き

戸籍謄本の収集、家庭裁判所での遺言書検認(遺言書がある場合)。

STEP

相続財産の確認

相続する空き家の物件情報を確認します。

確認ポイント

  • 固定資産税評価額を確認。
  • 建物の老朽具合や使用できるかどうかを確認。
  • 登記簿謄本を取得し、所有者や土地・建物の状況を確認。

固定資産税評価額とは?調べ方や計算方法もわかりやすく解説(LIFULL HOME’S)

STEP

相続放棄や限定承認を検討

相続人には相続を「承認」するか「放棄」する選択権があります。

  • 単純承認:財産も負債も全て引き継ぐ。
  • 限定承認:財産の範囲内で負債を支払う(全員での申請が必要)。
  • 相続放棄:財産も負債も一切相続しない。

単純承認とは? 相続放棄や限定承認との違い 「みなし単純承認」とならないための注意点を解説(相続会議)

STEP

遺産分割協議

相続人が複数いる場合、空き家をどのように分割するかを協議します。

協議内容

  • 空き家を売却して現金化する。
  • 1人が相続し、他の相続人に代償金を支払う。
  • 空き家を共有する(後々のトラブルに要注意)。

遺産分割協議書とは?作成の流れや手続きを解説(三菱UFJ銀行)

STEP

登記手続き(相続登記)

空き家を相続した場合、名義変更が必要です。

登記申請手続のご案内(法務省)

必要な書類

必要書類入手先
遺産分割協議書自分で作成するか、司法書士や弁護士に依頼
被相続人の戸籍謄本被相続人の本籍地の市区町村役場
被相続人の住民票除票被相続人の死亡時の住所地の市区町村役場
相続人の戸籍謄本相続人自身の本籍地の市区町村役場
固定資産評価証明書市区町村の税務課または固定資産税課
登記申請書法務局の窓口、または法務局の公式サイト
STEP

空き家の活用または処分

相続後、空き家をどう扱うかを決めます。

  • 売却する。
  • 賃貸に出す。
  • 自分で使用する。
  • そのまま所有して管理を行う。

この記事の重要なポイントのまとめ

空き家を相続した場合の選択肢

空き家を相続する場合、「放棄」「売却」「賃貸」「居住」の4つの方法があります。

  • 居住:自分で使う選択肢。リフォームが必要な場合もあります。
  • 放棄:負債や管理義務を避けられますが、他の遺産も手放します。
  • 売却:空き家を現金化し、維持費や固定資産税から解放されます。
  • 賃貸:家賃収入を得られますが、管理や改修の手間がかかります。
相続に伴う費用
  • 相続放棄の費用
    • 家庭裁判所の申述手数料や必要書類の取得費用、司法書士への依頼費用など。
  • 譲渡や売却の費用
    • 仲介手数料、登記関連費用、譲渡所得税などが必要です。老朽化した空き家を売却する場合、解体費用がかかることもあります。
  • 所有・賃貸の費用
    • 維持管理費や固定資産税、賃貸運用の管理費用が発生します。
  • 自分で住む場合の費用
    • リフォーム費用や引っ越し費用、インフラ整備費が必要です。

これらの費用を見越し、事前に予算を確保するとともに、税制優遇措置を活用することで負担を軽減することができます。

相続の基本的な手続き

空き家を相続するには、以下の手順を踏む必要があります。

  1. 相続人の確定:戸籍謄本などを通じて相続人を確定します。
  2. 財産の確認:空き家の固定資産評価額や登記内容を調査し、財産状況を把握します。
  3. 選択の検討:単純承認、相続放棄、限定承認のいずれかを選択します。
  4. 遺産分割協議:複数の相続人がいる場合、協議を通じて空き家の扱いを決定します。
  5. 登記手続き:名義変更を行い、法的な所有権を確定させます。
  6. 活用または処分:空き家の活用方法(売却、賃貸、居住など)を決定します。

必要に応じて専門家(司法書士、税理士)へ相談すると良いでしょう。

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